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【ベスト5】買ってよかった法律書2017

実務は結論が大事なので1位から書きます。

 

第1位 田中亘『会社法

会社法

会社法

 

もしかしたら2016年に買ったかもしれません。東京大学出版会の本はなんとなく誤字?が多い気がするためできる限り2刷以降で買うようにしているので多分2017年に買ったと思います。

会社法の体系書というのはとにかく情報量が多くて索引が使いやすくて手続の流れがわかればよいと思うのですがそういったポイントを完璧に押さえた本です。買ってから従来最強の座にあったアドバンス会社法をほとんど読まなくなりました。現在は田中会社法が最強です。

法律得意マンは江頭の株式会社法 第7版推してくるかもしれませんが索引がいつまで経っても改善しないので見切りました。

あと会社法大要(第2版)は本文と注釈が見やすくて神ですが、なぜか用語索引がページ単位じゃなくてセクション単位でメンタルが削られるため次点です。判例索引はページ単位なのに意味が分からない。異常に読みやすいけどなんか情報量が少ないので受験生は会社法大要が一番いい気がする。

 

第2位 潮見佳男『民法(全)』

民法(全)

民法(全)

 

改正民法の概説書いろいろ出てますが概説書は結局これ読んどけば足りる感じあります。

新債権総論1(法律学の森)と中田契約法は見なかったことにしましょう。

 

第3位 潮見佳男『民法(債権関係)改正法の概要』

民法(債権関係)改正法の概要

民法(債権関係)改正法の概要

 

 何がどう変わって何が変わってないのかを知るにはこれが一番良い気がしますね。そもそも法律を専門としてる人たちのうち現時点で改正法の概要を分かってる人は1%以下なのでこれさえ読んでれば施行までしばらくはドヤれると思います。

 

第4位 佐々木ほか『類型別 労働関係訴訟の実務』

類型別 労働関係訴訟の実務

類型別 労働関係訴訟の実務

  • 作者: 佐々木宗啓,清水響,吉田徹,伊藤由紀子,遠藤東路,湯川克彦
  • 出版社/メーカー: 青林書院
  • 発売日: 2017/09/01
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 このジャンルは労働事件審理ノート第3版という最強があるんですが類型別もわりと良いです。労働事件審理ノートは分かりやすいを超えてページを開いた瞬間に脳がどこを読むべきか勝手に判断するレベルの良書なので次点ですが類型別も結構頼れます。

 

第5位 鎌田明編著『はじめて学ぶ下請法』

はじめて学ぶ下請法

はじめて学ぶ下請法

 

 全然わかりやすくはないですが(下請法自体よくわからない法律なのでこれは仕方ない)読みやすい本です。某官製テキストのほうが分かりやすいという説もあるが某官製テキストは講義のない講義レジュメみたいな読みにくさなのでこっちのほうがよく理解できました。企業法務マンは買って損ないと思います。調べもののスタートにも結構使える。

最高裁判所長官「法曹には高位法曹と特に高位じゃない法曹がいる」

 

 岡口基一判事のTwitterで知ったのですが,最高裁判所長官が,最高裁判所の公式webでなかなか攻めた発言をしたみたいですね。

 

法学部以外の方のために説明すると,法曹というのは,基本的に弁護士,裁判官,検察官を指します。たまに,学者とかを含める人もいるようですが,日本では基本的にこの三者を意味するので,あまり深く考えなくてもいいでしょう。

 

裁判所|憲法記念日を迎えるに当たって

以下に全文を引用します。

憲法記念日を迎えるに当たって

 

憲法記念日を迎えるに当たって

 

最高裁判所長官   寺田逸郎

日本国憲法施行から70周年を迎えました。憲法に沿って新たに制定され,同時に施行された裁判所法の下で発足した戦後の裁判所も70年を迎えたことになります。裁判所は,今日に至るまで,憲法の下で負託された司法権の行使として,社会に生起する紛争の解決を通じて経済の発展,社会の安定に寄与するべく努めてきました。その間,我が国社会も,それを取りまく環境も,いくつかの節目を経て変化してきましたが,今世紀に入り,その変化はさらに動きを速めているように見えます。今や,情報技術の目覚ましい発展を背景に,経済や金融など多くの事象が国境を超えて相互に作用し合う複雑な状況を呈していて,その反面で,既存の枠組みや秩序への疑念が,様々な場面で顕在化しつつあります。これに加え,近年,東日本大震災に代表される大規模な自然災害が国民生活に深刻な影響を及ぼしていることも我が国社会が抱える大きな課題です。こうした中,国民の権利を救済し,適正な法的紛争解決を通じて「法の支配」を実現することを不変の使命とする裁判所の役割はますます重みを増していると受け止めています。前世紀末から,国民の司法制度に対する期待に応えるため,司法制度改革に伴う各種の制度改正や様々な基盤の整備等が進められてきましたが,裁判所が,このような改革の成果を生かしつつ,これまで以上に,社会の多様でスピーディーな変化に対応できる柔軟性を備え,その法的ニーズに的確に応えていかなければならないという認識は,裁判所内で共通のものとなっていると考えています。
   具体的な課題としては,まず刑事裁判について,刑事訴訟法が改正され,多彩な制度が新たに導入されることとなったことから,その適切な運用が求められていることがあげられます。これから施行される証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度は,我が国にはこれまでになかった全く新しい制度ですので,どのような運用がなされるのかについて,関係者の動きを注視しつつ,柔軟な発想で,裁判官同士で議論をするなどして,施行に備える必要がありますし,取調べの録音録画制度の裁判員裁判への影響等についても検討を深めていくことが望まれます。
  近年,民事事件を中心に,社会経済や国民生活に大きな影響を与える事件が司法に持ち込まれ,裁判所の示す判断に対する社会の関心が高まりを見せていることや,家族のありようが大きく変化し,これを受けて,家庭をめぐる解決が困難な紛争が増加するとともに,その内容も深刻の度を増していることは,再三申し上げているとおりです。裁判所の審理判断の質の水準は個々の裁判官の自覚や研修などの工夫を通じて高まっていると思う一方,国民から信頼される裁判所であり続けるために,裁判の質の向上に向けて更に不断の努力を積み重ねていかなければならないことを痛感します。そのために,紛争の実体を的確に把握し,法的な視点から検討を加え,合理的な期間内に妥当な結論を導くという,司法本来の役割である紛争解決機能をより一層高めるための取組を継続的に進めて参ります。
  日本国憲法の基本理念である「法の支配」の実現は,国際的な課題でもあります。そのため,国際会議などの司法交流の場を通じて,法の支配の理念の浸透に向けた司法の役割について意見交換を重ねていくことが重要と考えています。この秋には,東京でアジア太平洋地域を中心とした高位法曹が集う,法の支配を基本理念とした国際会議が予定されています。そして,その後には,同じく東京で知的財産関係訴訟に関する国際シンポジウムが開催される予定です。このような国際的な意見交換の場を重視し,問題意識を持って関わることは,意義のあることであり,このような機会に「法の支配」の浸透が国際的にも一層の広がりを見せることを期待しているところです。
  憲法記念日を迎えるに当たり,「法の支配」の理念の重要性と裁判所に期待される役割の重さを改めて自覚し,裁判所が国民の信頼に応え続けるため力を尽くす所存です。

 

  今回問題になった部分以外にも,「関係者の動きを注視しつつ…裁判官同士で議論をするなどして」など,味わい深い部分はあるのですが,まあそれはおいておきましょう。

 

 こうして全文を読んでも,特に「高位法曹」という聞きなれない単語を使う必要はなかったように思いますね。

逆に,使う必要のないところで攻めた表現を使ってしまうところに,「高位法曹」という概念に対する並々ならぬ思い入れ,そして慣れが感じられるところですが…。

 

この「高位法曹」という単語の是非は別にして,あまりにも聞きなれない単語だったので,ちょっと調べてみました。

 

まず基本として「高位法曹」という単語でググってみたのですが,全然ヒットしませんね(韓国の法曹制度を批判するブログで,皮肉として使われていたケースはありましたが)。

 

権威主義的な響きから,なんとなく,ローマ法や教会法などの研究の分野で使われている用語なのかなと思いましたが,CiNiiで全文検索しても出てこないので,そういう基礎法学の分野で使用されている言葉というわけでもなさそうです。

 

この秋には,東京でアジア太平洋地域を中心とした高位法曹が集う,法の支配を基本理念とした国際会議が予定されています。 

悩んだ結果,この国際会議がヒントになるかと思ったのですが,私は最初,開催時期・場所とアジア太平洋地域が中心ということから,ローエイシアという会議だろうと推測していました。

LAWASIA(ローエイシア)東京大会2017

 

しかし,ローエイシアの英語版のサイトを見ても,high rankとかそういった単語は使われていません(人権問題を話し合う会議でそんなこと書いたら炎上しますからね)。

ローエイシアは,「高位法曹」の皆さんが集う会議ではなさそうです。

 

ここでは,あえて会議名を書かず,「国際会議」とした点にポイントがあります。

というのも,ローエイシア東京大会のトップページの下のほうに書いてあるのですが,

LAWASIA東京大会2017は、2017年9月18日~21日、
法の支配による大いなる飛躍~ローエイシアの軌跡とこれからの役割
Big Leap through the Rule of Law - LAWASIA Legacy and Future Role
をテーマとして、アジア・太平洋最高裁判所長官会議と同時に開催されます。

同時期に,アジア・太平洋地域最高裁判所長官会議があるんですね。確かに,日本から唯一自分だけが参加する会議を指して「高位法曹」が集まる会議だ,と書くのは,さすがに勇気がいりますから,会議名をぼかしたのも頷けます。

 

弁護士と異なり,裁判官は司法行政も行う公務員ですので,役職があり,その役職には高い低いというものがあるのかもしれません。少なくとも,最高裁判所長官は他の裁判官,他の法曹より高位だという認識なのでしょう。

ということで,やっと謎が解けました。確かに,裁判所は,同じ裁判官の間でも「上席裁判官」などの役職をつけたりしますから,裁判所的には高位低位という考え方は慣れ親しんだものなのかもしれません。

 

当否は別にして,事実として,そういった考え方も存在するのかなと思います。

 

しかし,私は基本的に法曹同士(法曹としての裁判官同士)である限り高位低位というものがあるとは思いません。司法行政を行う公務員としては上下関係があるとしても(全員がフラットに予算配分を決めたり,全体会議で人事を行ったりすれば非効率です),予算や人事といった仕事は「法曹」でなくてもできる仕事のはずで,やはり「法曹」という単語を使う以上は,専門家として法的判断をする仕事を意味するはずです。

そうすると,やはり法曹に高位低位という位階の差があるという表現は,法の専門家である法曹の中にも高位低位があり,フラットな議論はありえない,という意味を含むことになってしまいます。

 

また,国際会議という文脈で高位法曹という言葉を使うということは,「日本の最高裁判所長官は,モンゴルの(最高裁判所長官ではない)裁判官より高位の法曹である」,「韓国の最高裁判所長官は,シンガポールの弁護士や検察官より高位の法曹である」,という意味を含んでしまいます。

日本の最高裁判所長官が,国内の法曹の中で自分がいちばん高位だと発言するぶんには自由だと思うのですが(そういう考え方もあるでしょう),最高裁判所長官が集まる国際会議を指して高位法曹が集まると書いてしまうのは,そういった「他国の法曹をまとめて自分たち最高裁判所長官より低位であるとみなす」弊害もあるわけです。せっかくの東京大会なのに,日本の最高裁判所長官がオフィシャルに参加国に喧嘩を売る必要はないと思うのですが。

 

また,「高位法曹」という単語からそこまでの意味を読み取るのはおかしい,最高裁判所長官なのだから他の法曹より高位なのは当たり前じゃないか,たとえ国(司法権の管轄)をまたいでいても,ある国の最高裁判所長官は他国の法曹より高位だと一般的に言えるはずだ,という意見もありえると思います。

しかし,私のように,日本の最高裁判所長官が自分は自国や他国の法曹より高位だと発信している,という理解をする人は一定数いると思いますし,あえて「高位法曹」という単語を使って,国際的な批判を受ける必要はないと思います。

特に,「高位法曹」を英語に訳すとなると,high ranking lawyerあたりの訳語が当てられる可能性があり,海外で炎上する可能性が非常に高いのではないでしょうか。オフィシャルなwebの,しかも憲法記念日の挨拶文でそんなリスクをとる必要があるでしょうか。

 

ということで,私は高位法曹という表現(概念)の使用は辞めたほうが良いと思うのですが,非法曹・非法律家の方は,こういう概念についてどう思われるのか,気になります。

 

法服の王国――小説裁判官(上) (岩波現代文庫)

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黒い巨塔 最高裁判所

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

 

要件事実入門 初級者編

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