司法修習に役立つ本・民事系(軽く予習しておきたい人から裁判官志望者まで)
司法修習に役立つ本を並べておきます。
ちなみに,これらとは別に,修習のテキスト的な存在として「白表紙」と呼ばれる本たちがあるんですが(表紙が白いから),それは修習開始前に研修所から段ボールで送られてくるので,わざわざお金出して買うまでもないかなって感じです。
民事裁判
司法修習最大の分量を誇る科目が民事裁判です。
範囲のほとんどが要件事実と事実認定ですが,事実認定は適当な難易度の本がないので,まずは要件事実を予習したほうがよいと思います。
【要件事実】
軽く予習するのにおすすめなのはこの3冊。
完全講義 民事裁判実務の基礎 入門編―要件事実・事実認定・法曹倫理
大島眞一裁判官著。法曹倫理部分はやらなくてOKです。
岡口基一裁判官著。大島裁判官の入門書より気軽に取り組めます。
このうち1冊を読んでおけば十分だと思いますが,迷ったら「初級者編」だけでも要件事実で大失敗はないと思います。
裁判官志望者向けはこのあたりになると思います。
岡口裁判官著。このレベルをこなすことができれば研修所の起案は間違いなくA以上でしょう。
これもレベルは比較的高いです。
この2冊のうち1冊をやる感じになると思います。
【事実認定】
事実認定は上記大島裁判官の本を除くとガチ勢向けしかないです。
これは超優秀層が解いている印象です。
事実認定体系 契約各論編1【裁判における事実認定のポイント、判断基準がわかる】
事実認定体系 契約各論編2 【裁判における事実認定のポイント、判断基準がわかる】
これは完全にオーバースペックだと思いますが,実務修習等での事実認定課題で参照するために持っていると便利です。
これは本当にガチ勢。ガチガチ。ステップアップ民事事実認定を「面白い」と思った人向けという感じです。
【民事訴訟手続】
このあたりの厚さの基本書を通読したことのある人なら,手持ちの基本書を読み返せば十分です。
コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法あたりは司法試験対策には良いのですが,修習対策には少し薄すぎです。
また
これを1組持っておくと修習で出される課題に便利です。超,便利です。
民事裁判だけではなく弁護修習でも役に立つので,お金に余裕がある人は手元において損はないと思います。
あと
でもなんでもいいんですが,コンメンタールを1冊持っておくと楽です。この新・コンメンタールは1冊本かつギリギリ持ち歩ける厚さなので便利です。民事裁判実務修習では裁判所のコンメンタールが使えるので困りませんが,研修所では強い味方になります。課題は早く終わらせて飲みに行きたいですからね。
民事弁護
民事弁護は修習開始前に予習する必要はあまりないと思います。民事裁判の知識が流用できるのでそちらを優先しましょう。
一応
民事弁護は民事裁判の知識があればだいたい乗り切れますが,民事訴訟マニュアルは実務修習で特に役立ちます。
要件事実マニュアルも実務修習だけ見ればなかなか役立ちます。
民事裁判ではわりと理論的なところを詰めていくので要件事実マニュアルに頼り切るのは危険ですが,弁護実務修習では強い味方になります。
また
執行・保全はなぜか司法試験までに知識を得ている前提で進んでいくので,ローできちんと執行・保全をやらなかった人は時間のあるうちに平野執行保全を読んでおくといいでしょう。
また,契約書関連では
契約書作成の実務と書式 -- 企業実務家視点の雛形とその解説
これが役立ちます。研修所での課題や実務修習で契約書のレビューや起案をすることがありますが,ひな形や解説書なしにやるのはまず無理です。