おいでよ ほうりつがくのもり(基本書レビューblog)

まったり司法試験・予備試験の基本書をレビューします

司法試験・予備試験受験生におすすめな論文・連載リスト

はじめに

 基本書リストは世の中にいっぱいある。アフィリエイトで儲かるから。でも論文リストはない。アフィリエイトで儲からないから。だからつくってみました。厳密には論文じゃないのも含まれています。あと引用の仕方も乱暴です。

 単行本に収録された論文、完結していない連載はできる限り除いていますが、もし混じってたらコメントでお知らせください。

 

田中嘉寿子「結論から書く司法試験答案:実務教育としてのリーダー・フレンドリーな答案の書き方」(法学セミナー2014年9月号32頁)

 これを紹介したいからこの記事を書いたほど超おすすめな論文。著者は検察官・立命館大学法科大学院教授・甲南大学法科大学院教授(本論文掲載の肩書)。

 試験の答案も判決書と同様「結論」(主文・罪となるべき事実)、「理由」(理由)、「罪数」(適用法条)を述べるべきであるとし、各論点ごとに結論→(問題点→)規範→あてはめ→結論の確認と書き進めていく…という原則論を示したあと、司法試験の過去問研究を通じて答案作成技術の理解を深めてくれるド直球神論文。正論を羅列するだけのありがちな答案指南と違って、試験では1秒でも時間が惜しいからナンバリングはこう書け!など、受験生目線での超実践的なアドバイスが並んでいるのがうれしい。

 著者が検察官のため刑事系を念頭に置いた解説になっているが、出題の趣旨・採点実感等・受験生の性質を徹底して研究したうえで編み出されたことが想像できる、全科目に応用できる答案の書き方である。

 

特集【有斐閣法律講演会2014】憲法事例問題を対話する(法学教室2015年1月号4頁以下)

 憲法事例問題の攻略法を松本和彦先生と宍戸常寿先生が語り尽くした対談の文字起こし。実際に長文事例問題が1題ついており、それを対談しながら解いてみせるという形式である。リアルタイム感が面白い。憲法の長文事例問題の解き方・勉強法がわからない人は一読の価値あり。松本和彦先生が受験生の学力を若干高く見積もりすぎているような気はするが笑、憲法においてわかりにくい「どう主張し、どう反論し、どう結論を書くか」というリアルな起案術を学べる良い特集である。

 

佐伯仁志「刑法各論の考え方・楽しみ方」(法学教室355号~378号)

 総論は刑法総論の考え方・楽しみ方 (法学教室ライブラリィ)として書籍化されたが、各論はまだである。刑法の基本書は一通り読んだけれども、結局何がどこまでわかっていれば予備試験・司法試験に通るのかわからない…基本書は肝心なことを何も書いていないので理解が進まない…という人に最適な自習用教材。自分で論点を考え、応用する力が身につく(と思う)。このシリーズの良さは、とりあえず単行本化された総論を読めばわかる。自分も総論読了後すぐに図書館にダッシュして各論をコピーした。

 

行政法答案構成ノート(受験新報2012年12月号)

 行政法答案構成ノート自体は確か2009年が初出で、↓のAmazonリンクの本にも収録されているが、2012年の受験新報にも簡易版?が再録されている。訴訟類型ごとに使う条文と重要論点をまとめた合格者作成ノート。詳細ではないが1時間で十分読める程度にまとまっているので、これをもとにまとめノートを作っていた。

司法試験合格のための論証集&答案構成ノート

司法試験合格のための論証集&答案構成ノート

 

 

越山和広「演習」(法学教室2012年4月号~2013年3月号の巻末連載)

司法試験委員による民事訴訟法の演習。2頁に莫大な情報量を詰め込んでいるので非常に字が小さい。基本概念を細やかに説明してくれるので司法試験・予備試験的に非常に有用。浅く広くの問題集もいいがこういう骨太な演習を読んでおくと特に難解な解釈を問われる司法試験で使えると思う。

 

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