司法修習に役立つ本・刑事系(軽く予習しておきたい人から裁判官志望者まで)
司法修習に役立つ本・民事系(軽く予習しておきたい人から裁判官志望者まで) - おいでよ ほうりつがくのもり(基本書レビューblog)
の続きです。民事系(民事裁判・民事弁護)が読みたい人はこちらをどうぞ。
刑事裁判
【手続】
刑事訴訟法(酒巻匡)
時間があるうちに基本書や講義案を読みなおしておきましょう。
手続法は全体がわからないと個別の論点もわからないので…。
酒巻刑訴は引用があまり充実してないですが,結論を言い切ってくれるのでなんだかんだいって実務修習では使える体系書です。
季刊刑事弁護 no.78(summer 2014―特集:裁判員裁判を活かす公判前整理手続)
あと別に何を読んでもよいのですが,公判前整理手続関連はよく起案や課題で問われるので文献を読んでおくといいでしょう。判例タイムズに大阪の刑事実務研究会が書いてる連載もおすすめです。
課題や模擬裁判対策に,手頃なサイズのコンメンタールを1冊持っておくといいと思います。
【事実認定】
裁判官志望者以外はこれ1冊で十分です。非常によくまとまった本です。
裁判官志望者がバイブルにしている本です。起案や課題の元ネタ集的なポジション。
完全に裁判官志望者向けですが,難しくはないです。
ちなみに量刑起案に関する知識は白表紙で十分吸収可能なので,あえて市販の書籍で予習する必要はないと思います。
検察
検察は基本的に刑事裁判の知識がそのまま流用できます。講義案も検察官志望者以外は要らないかなという感じです。
しかし,起案に独自のルールがあり,しかも論理的に自明ではないルールが多い(記載の順序,間接事実の総合考慮禁止等)ため,基本的に「終局処分起案」の白表紙を読んでルールを丸暗記することになります。
あと
起訴状の書き方にも一定のルールがあるので,この本は非常に役立ちます。検察官志望者でなくても課題や実務修習で非常に便利です。実務でも使えるので買って損はないと思います。
刑事弁護
刑事弁護は捜査弁護と公判弁護に分かれますが,基本的に刑事裁判の知識でなんとかなります。
ただ,例えば犯人性を否定するときは情状弁護はしない(しなくてもよい)など,講学上の「刑法」「刑事訴訟法」の知識だけでは導くことができない独特の価値観があり,ある程度関連文献を読んで慣れておく必要があります。
このあたりの文献は定評があります。刑事弁護系のコンメンタールは好みだと思いますが修習レベルでは不要だと思います。