要件事実の基本書・演習書
はじめに
予備試験で法律実務基礎科目・民事とか呼ばれてる科目です。要するに要件事実・民事訴訟手続・事実認定・法曹倫理の4分野を勉強しておけば大丈夫ですが、予備試験ではあまり難しいことは聞かれません。要件事実はここで書いた本を一読しておけば大丈夫だと思います。
要件事実
要件事実の教科書の中では一番やさしい本。民法をあまり勉強できていない人がとりあえず要件事実の勉強を始めるのに使える。普段から山本敬三の民法などを読んでいる人には物足りないと思う。しかし基本は抑えてあるので予備試験対策に短時間しか使えない人におすすめ。
こちらは入門というわりにそこそこ骨太な本。レベル的にはやはり山本敬三を使っている人には物足りないと思う。要件事実に触れていない簡潔な民法教科書しか読んだことがない人向け。
丁寧で詳しい。ボリュームはあるが問題演習の解説が充実した結果なのでわりとスイスイ読める。予備試験のほかに法科大学院の課題でもお世話になった。修習でも参照できるので法科大学院生なら買って損はないと思う。民法を一通りこなした人が要件事実の勉強をはじめるならこれ。コラムにさらっと山本敬三説への反論が載っていたのは笑った。
ちなみに,12月に入門編が出た(完全講義 民事裁判実務の基礎 入門編―要件事実・事実認定・法曹倫理)。今後予備試験のスタンダード教科書はこちらに移り変わっていくのだろう。
『新問題研究要件事実』
『改訂 紛争類型別の要件事実』
『10訂 民事判決起案の手引』
司法研修所が出しており、修習生に配られるこの3冊(Amazonにリンクがない…)。『新問題研究~』(いわゆる新問研)と『改訂 紛争類型別~』は要件事実の解説本。しかし、ほとんど解説らしい解説はなく、淡々と要件事実が羅列されていく。頭の良い人、元々民法が得意な人は、これで理解できるのだろうが、自分にはとても理解できなかったので、上記の大島先生の本に助けてもらった。基本中の基本とされているので、自信のある人、自分で記載の根拠を調べる時間のある人はぜひ。
また『10訂 民事判決~』は、判決の書き方の簡単なマニュアルという感じ。これは厳密には要件事実の本ではないが、民事実務の答案を書く際にはこれに準拠したほうが安全である。こちらも時間のある人向け。
予備試験だけを考えるなら過不足のないすばらしい演習書。自分の周りの予備試験合格者の5割くらいはこれを持っていた(残り5割は多分センスで突破していた)。民事手続と法曹倫理の問題もある。大島先生の本を読みながら演習書はこれをやりこめば知識面では十分予備試験合格レベルに達するはず。
このへんは修習生向け。難しいので司法試験合格までは読まなくてもなんとかなる。『民事訴訟法から考える要件事実』は予備試験向きとしているレビューもたまにあるが、民事訴訟法をきちんと理解している人向けに書かれていて結構難しい。そもそも、当時の自分のレベルでは民事訴訟法から考える必要がよくわからなかった…。民事訴訟法から考えることができなくても試験には受かると思います。
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