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憲法主義:条文には書かれていない本質(内山奈月,南野森) レビュー

 

憲法主義:条文には書かれていない本質

憲法主義:条文には書かれていない本質

 

 AKBの内山奈月と、九州大学教授*1の南野森の異色のコラボ本。

安倍政権のおかげか、憲法入門本はいま大量に出ているが、その中でも特におすすめしたい一冊。

論文を一本も書いていないような自称憲法学者ではなく、憲法学者によるもの…というだけでもセールスポイントになると思うが、非常にセンスがいいのは章立てである。

第1講「憲法とは何か?」――憲法は他の法律と比べて何が違うのか 
第2講「人権と立憲主義」――アイドルの「恋愛禁止」は憲法違反か 
第3講「国民主権と選挙」――質の高い代表を選出するための工夫 
第4講「内閣と違憲審査制」――国会・内閣・裁判所の民主的正統性について
第5講「憲法の変化と未来」――憲法が変化する場合とその手続きについて 

 立憲主義国民主権違憲審査制という非常に重要だがテレビの憲法議論などでは(面白く無いので)スルーされてしまうところを、アイドルとの対話という形で面白く、かつ本質をしっかり伝えられるように仕上げている。南野先生の手腕は素晴らしいものがある。また、集団的自衛権憲法改正といった今熱いテーマについてもしっかり語られる。

また、内山奈月の聞き手として能力も相当高いのだろうと思わせる。単なる客寄せパンダではない。内山奈月手書きメモを時々出すという手法も親しみやすくて良い*2

アイドル本と侮らず、法学部1年生~非法学徒の方にぜひ読んで欲しい入門本。

*1:執筆当時准教授。

*2:木村草太『キヨミズ准教授の法学入門』でもやってましたね。