民事裁判実務の基礎/刑事訴訟実務の基礎 レビュー
法学教室連載の書籍化。
予備試験やロースクール生、修習生を意識した入門レベル。
解説は非常にわかりやすく、言葉遣いも平易。
これ1冊で民事裁判実務/刑事裁判実務両方に対応している。
民事裁判実務部分は、広く浅くといった感じだが、
上記の大島完全講義という決定版の教科書がある以上、実体法の学習がすでに進んでいる人があえてこちらを選ぶ必要性はないだろう。
逆に、実体法の学習はあまり進んでいないが、とりあえず実務の入門書を読みたい、実務家の文章に触れておきたいという人にはおすすめ。
刑事裁判実務部分は、広く浅くというよりは、一部分を取り出してわかりやすく解説していくといった感じだった。
逮捕についてほとんど記載がないなど、試験対策に向けてメインテキストとして使える本ではない。
しかし、他のどの本よりも初学者を意識して平易な言葉で執筆されているので、予備校テキストなどのメインテキストを補う感じで読んでいくのに適していた。
それだけに網羅的でない点が惜しいが、刑事裁判実務について決定的な教科書は現時点でないと思われるので、今後の改訂で網羅的なテキストになればシェアはぐんと上がっていくだろう。それくらい、書いてあるぶんについては高評価。