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テレビが伝えない憲法の話(木村草太) レビュー

 

テレビが伝えない憲法の話 (PHP新書)

テレビが伝えない憲法の話 (PHP新書)

 

憲法をめぐる議論のうち、「美味しいところ」を学術的なバックグラウンドから説き起こした新書。

類似の新書より優れている点として、

・事実と評価、通説判例と私見を分けることを意識して書いている。ここは、ジャーナリズムや政治学をバックグラウンドにしている人に比べて、本職の憲法学者である木村草太先生の得意とするところだろう。

・実際に憲法上の問題が憲法訴訟でどう争われるかというところまで踏み込んで書いてある。新書レベルでこうした視点を持ち出すのは、裁判員裁判時代・法科大学院時代の学者ならではか。

・学者が書いた本にしては文章が柔らかい。たくみに口語体を使用している。

これから憲法について学んでみたい人、新書や教養科目でしか勉強したことがないという人にぜひ読んでほしい新書である。また、今後専門家になり非法律家向けの文章を書く可能性がある学生や法律家にも読んでほしい。