おいでよ ほうりつがくのもり(基本書レビューblog)

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ケースブック刑法 レビュー

 

ケースブック刑法 第2版

ケースブック刑法 第2版

 

 おすすめ度:☆☆☆☆☆(星★0個)

重要な判例を多数セレクトして掲載している。

という点しか、ポジティブなことは書けない。

①2011年に出版されているので、最新の判例が収録されておらず、判例集として古い。②あまり重要ではない判例(現在では意義を失っているような古い大審院判例など)も掲載されている。③ケースブックを名乗りながら、事案や判旨の紹介もダイジェスト的なものが多い。④判例の解説がついていない。⑤ケースブックを名乗りながら、「判例の射程」「判例理論」「あてはめのポイント」等の司法試験や実務で重要な知識を問う設問はほとんどなく、ひたすら学者の論文を引用しては「この説には、理由があるか。」という調子で設問が並んでいく。⑥学説の問題点を挙げさせながら特定の学説に導いていくような設問が多い。⑦事例問題がついていない。⑧豊富かつ偏った学説批判をふんだんに取り入れた結果、設問数が異常に多い。⑨設問の解説がついていない。⑩参考文献を読まなければ解答できない設問が多いうえに、参考文献はたいてい論文であり、専門性の高い図書館を利用できる人しか解きすすめられない。⑪設問や参考文献からわかるように、代表的な基本書を意識せずに書かれている。⑫章末ごとの参考文献欄で「判批」をいくつかあげているが、なぜか掲載判例すべての判批が載っていない。

以上のような問題点があり、「法科大学院が絶対に選んではいけないケースブック」のうちのひとつであるといえるだろう。