おいでよ ほうりつがくのもり(基本書レビューblog)

まったり司法試験・予備試験の基本書をレビューします

司法試験・予備試験 受験勉強の始め方最初の一歩

はじめに

 合格者としての立場から、司法試験・予備試験の受験勉強について書いてみます。

 対象読者は法学部1~2年目、法科大学院未修入学者レベルです。

総論

 予備試験も司法試験も、短答式と論文式の試験があります。予備試験はこれに加えて口述式の試験もあります。どちらも短答式に合格しなければ論文式を受けられない(採点してもらえない)ため、まずは予備試験の短答式の合格を目標に勉強するのが良いでしょう。

 予備試験の短答式の科目は、憲法行政法、民放、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教養の8科目です。教養は公務員試験のように歴史から理科まで様々な分野からごちゃまぜに出題される科目であり、法律に関係ありません。教養は非常に出題範囲が広いため、あまり対策のしようがない科目です。しいて言うなら、毎年英語の設問数が非常に多いので、普段から英語をやっておくと有利だという程度でしょう。

 しかし、短答の合格点は年によって変動するのではっきりした数字は言えませんが、憲法から刑事訴訟法までの法律7科目でしっかり得点すれば、一般教養ができなくても通る試験になっています。そこで、基本は法律の勉強に力をいれることになります。

刑法からやる

 法律科目の勉強の順序ですが…最初の一歩としては、まず刑法からやるのが良いと思います。

 理由はいくつかありますが、最大の理由は、憲法民法刑法の基本3科目の中で最も分量が少ないことです。逆に断トツで分量が多いのが民法で、多くの大学で民法全分野を学習するには16単位以上を費やします。憲法や刑法は、どちらも8単位程度のところが多いでしょう。条文数も、民法は1000条以上、憲法は100条程度、刑法は200条を超えるくらいです。しかし、憲法はあらゆる法の上位に来るだけあって、他の科目の知識がないと理解できない論点が非常に多いです。憲法は、たとえば「この刑法の条文は憲法違反である」などということを学習していくのですから、他の法律が出てくることが多いのは当然です。まずは刑法から学習を始めるべきでしょう。

最初は1冊本を買うべき

刑法 第3版

刑法 第3版

 

  刑法は、総論と各論に大きく分けられ、大学でも総論と各論は分けて講義されていることが多いです。しかし、いきなり総論だけの本や、各論だけの本を買ってしまうと、その厚さに圧倒されると思います。しかも、分厚い基本書には、短答式試験のレベルを超える、論文式でしか使わないような難解な学説も掲載されています。

 はじめは、上に紹介したような、1冊で総論と各論を一気に解説した薄い本から読み始めるのが良いでしょう。なぜ山口厚の本を選んだかというと、学会のトップランナーであること、司法試験委員会のトップであることはもちろんですが、記述がコンパクトで読みやすいことが一番の理由です。また、初学者から上級者まで短答式対策に最適といわれる基本書であり、初学者レベルから脱しても使える(ゴミにならない)ことも魅力です。

 司法試験・予備試験の勉強を始められる方は、まずこの本を読みきってから、法務省のホームページから予備試験の刑法の過去問をダウンロードし、実際に問いてみるのがよいでしょう。

 他の科目の基本書については、下記の記事を参考にしてください。

campho.hatenablog.com