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まったり司法試験・予備試験の基本書をレビューします

労働法第5版(水町勇一郎) レビュー

 

労働法 第5版

労働法 第5版

 

 おすすめ度:★★★★★(満点)

労働法学習者、労働法の講義の受講者、司法試験の労働法選択者は必ず読むべき本。改訂で、ずいぶんスタイリッシュな装丁になった。

この本を選ぶ最大のメリットは、「教科書」として最もメジャーだということだろう。多くの者が読んでいるということは、逆に、この本に書いてあること程度は学んでおかないといけないということである*1

また、私見や発展的な内容がコラムにまとめられ、本文は通説的な解説でまとめられている点も、「教科書」としては魅力的であった。判例やケースをガンガン引用して解説を加えていくという学習者に配慮したスタイルをとっており、初学者や司法試験を強く意識した「教科書」である。自分も学部時代から(改訂のたびに買って)使い続けているが、本当に読みやすい。

そして、「教科書」であるという点が、労働法の基本書選びでは意外と重要なメリットとなる。というのも、労働法の基本書は、民法や刑法と異なり、学者や実務家向けに書かれた「体系書」がほとんどだからである。いきなり「体系書」を選ぶのは骨が折れるので、まずはこの「教科書」からはじめたい。

初学者は、最高の「入門書」である『プレップ労働法 第4版 (プレップシリーズ)』を読んだ後、まずはこの本から本格的な学習をスタートするのがよいだろう*2

 

 

*1:予備校本で済ませるのもありかもしれないが、実際は予備校本のほうが改訂が遅かったりするし、考察が薄いと結局試験では書きにくい

*2:多くの学習者は、基本書としてはこの本のみで十分だと思われる。自分も、調べ物はたいてい判例集とこの本、コンメンタールで足りている。