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まったり司法試験・予備試験の基本書をレビューします

リーガルクエスト刑法各論 レビュー

 

刑法各論 第2版 (LEGAL QUEST)

刑法各論 第2版 (LEGAL QUEST)

 

 おすすめ度:★★★★★

自分が読んだ中では、もっとも詳細な説明がなされていた刑法各論の教科書/基本書。

重要な論点について、通説・判例・有力説・自説にとどまらず、少数説・実務家の指摘も含めて懇切丁寧に説明していくというスタイル。対立点を解きほぐしながら学説を並べていくので、法学部の定期試験でありがちな「一行問題」の対策としても最適だろう。

また、刑法各論の基本書は財産犯以外の罪についての解説が薄いものが多いが、この本は他の章についても徹底解説の手を緩めない。

ちなみに、司法試験の刑法自体は、24年くらいから、判例の見解を用いて素直に解かせる問題になってきていると感じるが、それでも確立した判例/裁判例がない論点というのは相当数あり、そういった論点については学説の力を借りて説得的な論述をしなければならない。そういった判例がない部分の論点等について、問題を解きながら疑問を持った点を調べるとだいたい書いてある、という抜群の安定感を誇っている。現在は、刑法の勉強の際に手放せない本となった。刑法各論(高橋則夫)が改訂してくれれば、また浮気しそうだけど…*1

*1:高橋則夫の基本書については、ここ参照。