民事訴訟法 重要問題とその解法 レビュー
民事訴訟法 重要問題とその解法 (法セミLAW CLASSシリーズ)
- 作者: 杉山悦子
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2014/03/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おすすめ度:★★★★☆
「多分これが一番丁寧だと思います」。
民事訴訟法を論点ごとに丁寧に解説した本。学説の対比、判例の射程の分析が手厚い。文章はですます調。設問の問題文は短く、司法試験の誘導を意識してか、設問のあとに導入として(やたらと学説に詳しい)学生ABCの会話がついている。
法学セミナー連載時から一部をコピーして読んでいたが、書籍化をきっかけに購入し、ほかの部分も読んでみた。面倒がらずに最初から全部読んでおけばよかったと思った。
ケースブック等と比べると特別高度というわけでもない。しかし、基本書や既存の問題集に比べると相当程度踏み込んで基本概念や判例・学説を分析している。決して優しくはないレベル設定である。少数説や現在支持されていない説にまで触れながら検討していくため、中級者以上の読者を想定していると思われる。
とはいえ、筆者の文章がうまく、なめらかなのですいすい読める。ひと通り民事訴訟法の基本書を読み終わった学部生や、法科大学院生におすすめ。学部の一行問題対策にもなるだろう。
一応、基本すら怪しくて、とても学説や判例の射程の分析までできない、という人は『Law Practice民事訴訟法*1』『基礎演習 民事訴訟法 第2版』あたりを読むべき。
*1:杉山悦子先生も執筆者