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憲法学再入門 レビュー

 

憲法学再入門 (法学教室ライブラリィ)

憲法学再入門 (法学教室ライブラリィ)

 

 帯にも『「なんとなくの理解」から,一歩先へ』と書いてあるように、入門書・基本書のレベルを超えた発展的な内容だった。タイトルは『憲法学再入門』なのに…。一応「入門」は終えている人向けだということだろうか。

内容について。木村執筆部分(統治)は、法哲学のレベルから憲法学をわかりやすく説き起こすという構成。大学で法哲学や法社会学の講義を受けた人には、「ああ、憲法のここに繋がる話なのか」という感覚を得られるだろう。ただし、わかりやすく語っているようで実際は相当に高度なことを説明しているので、万人向けではないと思われる。司法試験には不要だろうが、予備試験の憲法では統治からの出題もあるから、統治が得意な人は手を出してみてもいいかもしれない。

西村執筆部分(人権)は、良くも悪くも法学教室らしいレベル。司法試験や定期試験を対策する目的なら基本書・演習書・判例集のほうが役に立つし、ゼミの調べ物や少し深く学習してみようという目的なら論文や単著を読んだほうがいい。

結局、どちらの執筆部分も試験勉強の合間に息抜きに読むくらいで使うのがいいだろう。憲法への苦手意識を取り去ってほしいという著者らの意気込みは感じるが、個人的には科目としての憲法への苦手意識は試験問題を解けるようになることでしか取り去ることはできないものだと思う。