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基礎からわかる民事訴訟法 レビュー

 

基礎からわかる民事訴訟法

基礎からわかる民事訴訟法

 

高橋『重点講義』や重判、百選等の有名本を"引用して要約"していくスタイルの本だった。 著者は、東大の博士課程から裁判官を経て研究者、弁護士という経歴である。学者・実務家が書いた「予備校本」、受験用の参考書という位置づけになると思われる。

wikiによれば、

和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』(2012/08)……

LIVE本の著者による民事訴訟法全体を通覧する教科書。内容と言い,執筆者と言い,藤田・講義民訴の完全な上位互換である。条文(及びその趣旨)を重視し,図表を多用して、著者自身の言葉で噛み砕いた説明を行っているのが特徴。メリハリも効いており,重要論点についてはまさに「司法試験に必要な程度」に学説(新堂,高橋など)も取り上げられているため,的確に問題認識をすることができる。

http://www27.atwiki.jp/kihonsho/pages/22.html

ということであるが、「司法試験に必要な程度」に学説が取り上げられているかは、非常に微妙である。

判例や(高橋等の超メジャーな)学説をざっくりとつかむ程度の記述だった。何が「司法試験に必要な程度」の知識なのかが分からない以上、この本に頼りきるのは危険だろう。(新司法試験の民事訴訟法の問題は、かなり高度であるし。)

しかし、民事訴訟法の基本書で図解を多用し噛み砕いた説明をしてくれる本は現在のところ(少なくとも私が知っている範囲では)これだけである。なんせ、百選等の解説を直接読むよりわかりやすいんだから…

民事訴訟法の本にありがちな、問題提起や考慮ポイントの提示だけして結論を書かない「ごまかし」が少ないことも受験を意識していて非常に良かった。

総合的にみて、一部の意識の高い層を除いて、民事訴訟法の基本書は今後これ一本に絞られていくのではないか、といえるほど良い出来だった。