憲法論点教室 レビュー
教授に質問するより、これを読んだほうが明確な答えが返ってくる。
憲法の答案を書く上で、「こういう書き方していいの?」とか、「ここの論証はどうすればいいの?」「論証が不要なところと必要なところがわからない」という素朴な疑問に徹底して答える構成になっていた。(たとえば、「まだ判例のない"権利"が憲法13条で保障されることをどう論証するか」についての記述は非常に明快でわかりやすい。)
はしがきによると「紙上オフィス・アワー」のつもりで書かれた本らしい。確かに、学生の疑問に親切に付き合ってくれるような章立てになっている。個別の権利については判例百選の解説やコンメンタールを読んだほうが早いところもあるが、違憲審査基準論や憲法総論についての記述は、他書籍に比べても、この『憲法論点教室』のほうが数段わかりやすかった。
ただし、『憲法論点教室』というタイトルながら、「争点」シリーズのように、網羅的に論点を潰していくというタイプの本ではない。あくまで、ロースクールや学部の講義で学生から質問がありそうなポイントに絞っているのだろう。
なお、多数の学者による共著であるが、各著者によるクオリティの差はあまり感じない。全体的に懇切丁寧なレベルでまとまっていた。
薄くてすぐ読める+細かく章立てされているので、スキマ時間に読めるのも良かった。